東芝デベロップメントエンジニアリング株式会社

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車-車間通信

本格化するITSの展開を見据え、
V2Vアプリ開発を支援する評価シミュレーションを実現。

車載関連事業の未来を見据え、ITS関連の独自研究を推進

わたしたち東芝デベロップメントエンジニアリングでは、車載関連を中核事業のひとつに位置づけ、カーナビゲーションシステムなどの開発に携わってきました。そして、本格化するITS(高度道路交通システム)の動向を見据え、関連技術の研究開発も進めてきました。ITSとは、人と道路とクルマの間で情報をやり取りし、交通事故や渋滞、環境対策などの課題を解決するシステムとして、世界中で期待されているもの。日本では現在、カーナビゲーション、ETC、安全運転支援、交通管制、道路管理、公共交通運行管理、商用車運行管理、歩行者支援、緊急車両管理の9分野で、実用化に向けた開発が産官学で進められています。最近では自動緊急ブレーキなど、カメラとセンサーを利用した安全支援システムも登場していますが、将来は、こうしたシステムとITSが融合して、より安全で快適な道路交通が実現すると考えられています。

ITSは9分野で開発が進むの図

見通しの悪い交差点での事故防止にも役立つ、車-車間通信

ITS関連技術の研究として、わたしたちが取り組んだのは、安全運転支援の未来技術として注目されている車-車間通信(Vehicle-to-Vehicle/V2V)です。V2Vは、車両同士が位置や速度などの情報を無線でやり取りすることが可能で、運転者に安全運転の注意喚起を行うシステムなどに利用できます。例えば、交差点に近づくと、運転者が目視できる前に、別の車線からクルマが近づいていることを知らせる「交差点付近情報」をはじめ、左後方からバイクが近づいていることを知らせる「左折時後方情報」のほか、「右左折時前方情報」「前方走行車情報」「緊急車両情報提供」「営業車両停車情報」など、安全運転を支援するシステムとしてさまざまな活用法が検討されています。

V2Vアプリの開発で実感した難題を、新たな研究テーマに

当初わたしたちがめざしたのは、受信した周辺車両の情報をもとに、安全運転を支援するためのアルゴリズムの開発でした。その後、開発したアルゴリズムを搭載したアプリの開発に取り組みましたが、こうした開発を進めれば進めるほど、強く感じるようになったことがありました。それは、開発したアプリを評価するときの負荷があまりにも大きいことです。アプリの評価には、評価車両に加えて、数十~数百台の周辺車両が必要です。さらに、情報をやり取りするためには、通信機器を用意して全車両に搭載しなければいけません。この条件が仮に準備できても、一般道路でのテストは困難です。また、日米欧では使用する無線帯域が違うため、日本で海外規格の評価を行うためには膨大な労力とコストがかかってしまう。本格的なITS時代を迎えるためには、開発するアプリを評価するシミュレーションシステムの必要性を強く実感しました。そこで、研究方針を大きく転換、V2Vアプリの評価をPC上で実現するシステムの開発をスタートさせたのです。

運転者の目線でアプリが評価できるシステムも実現

そして2014年の組込総合技術展で、ITS FORUM RC-013の内容に準拠したV2Vアプリの評価が行えるシミュレーションシステムを発表しました。このシステムを利用すれば、V2Vアプリケーションの評価がPCシミュレーションで実施できます。評価車両を走行させるエリアは、デジタル地図の利用で、実在するどの場所でも可能です。走行パターンも評価目的に合わせ、ルート走行もランダム走行も自由自在。周辺走行車両も、台数や種類(一般車両や営業車、緊急車両)などが自由に設定でき、ランダム走行はもちろん、バスを停留所に停止させたり緊急車両を通過させるなど、評価に必要となるイベントを発生させることもできます。さらに2015年の組込みシステム開発技術展では、車両の走行状態を俯瞰表示で確認できることに加え、車窓を3Dで再現し、運転者視点でリアルタイムに確認できる評価システムも発表しました。

車窓が3Dで再現された、運転者視点の評価システム

地図データ処理技術など、獲得した各種技術の応用も推進

2回の技術研究発表・展示により、わたしたちはV2Vアプリ評価システムの先駆者として、業界に先行する技術力をアピールしました。しかし、これは研究成果の一部に過ぎません。今回の研究開発でわたしたちは、ITS関連規格、V2Vガイドライン、地図データ処理、交通流シミュレーション、車窓シミュレーションといった、ITS関連の要素技術を習得しました。中でも地図データ処理では、以前から社内に蓄積した地図データを取り扱う技術と融合することで、道路の勾配までソフトウェア上のバーチャル空間に再現できる技術を確立。この技術を応用することで、路線運行する電気バスの電費※をシミュレーションし、最適な充電ステーションの設置場所を検討するツールを開発するなど、応用分野の拡大も進めています。ひとまずV2V関連の研究開発は終了しましたが、自動走行など今後も新たな技術獲得に取り組んでいく予定です。その成果も踏まえ、要望に応じて社内に蓄積したさまざまな技術を組み合わせて提供し、本格的なITS時代の到来を支援していきたいと考えています。

※ガソリン車の燃費に該当するエネルギー消費率

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